インターン体験インタビュー vol.11

弊社では大学生向けに有給インターンを行っています。
本稿では、参加していただいた皆さんに、インターンを体験した感想をインタビュー形式で伺いました。インタビュワーである篠田が語りすぎてしまっていますが…今後、弊社でインターンを検討されている学生さんや、インターンプログラムの導入を検討されている建築設計事務所様の参考になれば幸いです。
インタビュイー

佐治君(SJ)
京都府長岡京市出身
好きな建築:鳩居堂/内藤廣建築設計事務所
鳩居堂は京都市内にある書画用品・香のお店です。この店舗は一つだけでなくいくつもの建物が一つの通りに集合しています。屋内の天井や店内の雰囲気などは内藤廣らしさがありとても良いですが、特に僕が気に入っているのは中庭です。この空間は座って落ち着ける縁側やその落ち着きを崩さないための圧迫感がないながらも閉鎖的にする壁、多すぎない植栽のように僕が理想としているような庭に限りなく近いものでした。店内の話でいうと京都の老舗と内藤廣建築がベストマッチだったのでここを好きな建築に選びました。
佐治君よろしくお願いいたします。(篠田:S)
よろしくお願いします(SJ)
参加動機
佐治君は10月の終わりから2月末の約4か月間県設計に来てくれたけど、参加を希望してくれたきっかけを教えてください(S)
僕は大学入学時から絵を描くのが苦手でした。いずれはその苦手を克服したいと思っていたものの絵を描くほかに何かしら自分の考えを表現できる手段を探していました。その時に授業で先生が県設計のインターンを紹介されていました。この話を聞いたとき「これだ!」と思いました。なぜなら実務ではパソコンで図面やモデリングをすることを知っていたのでインターンに参加すれば実際にその力を身につけられると思ったからです。(SJ)
僕も表現には日々苦戦していて、とても気持ちがわかります。時代が変わってきて、ただ手書きで絵を描けなくても、CADやモデリングソフト、今では事例が出回っているためpinterestなどの画像検索を駆使してコラージュ的にイメージを共有したり、ChatGPTを用いて、漠然としたイメージを昇華させることもできるようになりました。時流にのる建築のノーテーションを磨くことももちろん大事ですが、それよりも佐治君が何を表現したいのかがとても大事になってくると思います。(S)
活動内容
県設計では有給インターンにこだわっており、大学1年生にも携わっていただける業務の範囲で実際に設計業務の一端を担っていただいております。学術的な建築を学ぶとも、実際の設計事務所の業務とも、若干属性の異なる内容でしたが、どんな業務に携わりましたか?(S)
AutoCAD,Rhinoceros,twimotion,Illustratorなどのソフトを使い、図面の書き出しやモデリング、人の添景などを作りました。パソコン業務以外ですと建物の改装工事後の部屋の壁紙を考えるなどもしました。(SJ)
佐治君はソフトの習熟度がとても速かったので、本当に多くの業務をお願いしました。締め切り間際の業務にも携わっていただいたり、論理的で課題解決能力が高く、大きな方針を伝えると実現してくださったのでとても頼りになりました。一方で、クロス選びのような業務は一見理屈ではなさそうにも感じますが、雰囲気を要素分解できれば、理屈が隠れていたりするので、そういった部分にも造詣を深めていってほしいです。(S)

業務を通じて得られたこと
続いて、佐治君が業務を通じて得られたことを振り返りもかねて教えてください(S)
実務で実際に使うようなパソコンのソフトの使い方を習得できました。そのほかにも1年生の間では授業で習わないような建築を考えるうえで重要なことをたくさん教わりました。これは今後の設計課題やコンペをしていくうえでかなり重要なことだと思います。(SJ)
業務終了後によくコンペの相談をしてくれていましたね。おっしゃる通り、表現を磨くことはとても大事です。また、沢山建築に触れ、良い建築の身体感覚をもてることも、並行して大事だと思います。そういった面では、本業務では担い切れなかったので、ご自身でこれからいろいろ巡ってもらえると嬉しいです。(S)
印象に残ったこと
デスクワークが中心だったと思うのだけど、佐治さんの印象に残ったことを教えてください(S)
Rhinocerosを触り始めたばかりでまだ基本操作もままならなかった時にある建物の改修工事をする際に使う3Dモデルを作るよう頼まれました。使い方がわからないなりに試行錯誤してかなりの時間がかかったもののなんとか完成させることができました。これは僕の持論ですが人は追い込まれているときにそれを乗り越えるために成長すると考えています。この出来事がそのいい例でこの仕事の前後で僕は格段に成長できました。(SJ)
Rhinocerosはアーキキャド等のソフトと違い、またオートCADに似ているけど、コマンドの勝手が違ったり、なかなか覚えるのに苦労しますよね。。コマンドリストなど、こちらで最大限、資料を用意させていただきましたが、佐治君の日々の遊び心を持ちながら、研鑽された成果だと思っています。追い込まれているときに成長するのは、おっしゃる通りだと思います。ただ過度なストレスを被るとかえってパフォーマンスが下がってしまうので、日々ちょっと先、適度なストレスを持ちながら、これからもモチベーション高く頑張ってほしいなと思います。(S)

後輩に一言
来年度はお休みしますが、今後も松本で学生向けインターンを行おうと思っています。来年度以降、インターン参加を検討してくださる後輩に向けて一言おねがいします!(S)
信州大学では1年生の間、図面のトレースと簡単な模型づくりしか教えてもらえません。もちろん手書きできれいな図面をかけることは建築士の試験などにおいてとても重要なことですがやはり現代で建築士として活躍するためにはパソコンのスキルが必要不可欠です。そのため学校で教えてもらえないことは自分から積極的に学ばなければいけません。このインターンはその絶好の機会なのでこのチャンスを逃さないようにしましょう。また仕事を頑張っていればごはんも連れて行ってくださるので頑張ってください!コンポタよりココアの方がおいしいです。(SJ)
1年生は一般教養課程があるので、広く学べたり、信州に対して造詣を深めることができるのは、複合的なジャンルのが紐づいてくる建築を志していくうえで、とても大事だと思います。一方でご指摘の通り、環境を整えることができない、ソフトを習熟している講師がいないといった課題や、「今までそのようにやってきた。手書きが書けないと○○」といったノスタルジックな教授陣のバイアスから、CADを学ぶ機会は現状、信大にはありません。僕の感覚だと、大学でCADを教えること自体は、議論の遡上にものってないように感じます。一方、製図の課題等、CADを使ってもいい講義も増えてきました。長野市にも、インターンやアルバイトを通じてソフトを学んでいける事務所も多く、また、rhino-gh.comなど、お金を掛けなくともある程度のところまではソフトを習熟できる素晴らしい情報サイトもあります。自助努力の範囲ですと、挫折しがちなので、友人と協力したり、環境にあやかったり、うまく習得の機会を設けてもらえたらと思います。僕はコンポタ派です。笑(S)
インターンプログラムの改善点
さて、本人を目の前にして、言いづらいことかなと思うのですが、、良い面だけ社外に発信するのもむずがゆいので、率直に弊社のインターンでもっとこうあればいいのになあと思うことなど、課題や改善点があれば教えていただけますか(S)
特にないです。いろいろな雑談から、まじめな建築の話までいろいろできて楽しかったです。(SJ)
ありがとうございます。また、何か浮かんだら教えてください!(S)
今後の展望
短い期間ではありましたが、とても濃厚な時間を過ごせたと思っています。本当にお疲れ様でした。今後も機会があれば弊社の業務で携わっていただくこともあるかと思いますが、弊社のインターン経験を経て、佐治君が抱いた今後の展望を聞かせていただけますか(S)
得られたことでの話の通りこのインターンで僕は自分の考えをアウトプットする手段をたくさん手に入れました。これはあくまで手段であり建築ではありません。そのため今後はコンペや設計課題に積極的に参加したいです。(SJ)
責任が伴うと、どうしても飛躍的に考えにくくなっていく傾向があります。学生のうちにしかできない、真摯、かつ遊び心交じりで、純粋に、建築を追求してもらえたら嬉しいです。今の時代に起こっていること、そして、これからの建築の在り方はどういったものがよいのか。広く社会性を捉えながら、佐治君のやりたいことを、楽しく進めてほしいなと思います。お互い励みましょう!ありがとうございました!(S)
こちらこそありがとうございました!(SJ)
