マクセルイズミ エントランス棟
建物名 | マクセルイズミ エントランス棟 |
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所在地 | 長野県 |
工事種別 | 改装 |
階数 | 平屋 |
延べ面積 | 330㎡ |
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構造 | S造 |
竣工年 | 2024年 |
業務内容 | 設計監理 |
本計画は、昭和14年創業の歴史を持つ企業のエントランス棟における部分改修である。応接室および会議室の老朽化を契機に、長年にわたり育まれてきた企業の理念や風格を空間に織り込み、品格と趣のある設えを目指した。
エントランスは、やわらかく引き込む待合の場から始まり、敷居を設けることで緩やかに場を切り替え、展示通路を介して奥の会議室へと導く構成としている。視線と動線を制御しながら、訪れる者の期待を徐々に高める空間の連なりを意図した。
計画当初はより広範な改修を構想していたが、近年の建設コストの高騰を受け、検討を重ねた末にプランの一部を見直すこととなった。担当部長の迅速な判断により、取捨選択を行いながらも、限られた予算の中で設備更新と空間の質的向上を両立することができた。
素材選定においては、ヒノキの羽目板に含まれる油分のムラや色の不均質さをあえて活かし、深みと揺らぎを感じさせる塗装仕上げとした。そこには、画一性に回収されない素材の表情を空間の「オーラ」として引き出す意図がある。六角形のディスプレイ什器は、組み合わせにより柔軟に展開可能な構成とし、空間の可変性にも配慮している。