インターン体験インタビュー vol.1
弊社では大学生1年生向けに有給インターンを行っています。
本稿では、参加していただいた皆さんに、インターンを体験した感想をインタビュー形式で伺いました。インタビュワーである篠田が語りすぎてしまっていますが…今後、弊社でインターンを検討されている学生さんや、インターンプログラムの導入を検討されている建築設計事務所様の参考になれば幸いです。
インタビュイー
大坪君(O)
石川県金沢市出身
好きな建築:①スノーピーク白馬/隈研吾建築設計事務所②太田市美術館・図書館/平田晃久建築設計事務所
①スノーピーク白馬は長野県の白馬村という辺鄙な場所に立つ地方の魅力が詰め込まれた建築です。地元民がマルシェを開き、クラシカルな音楽が流れ、壮大な山々を借景とした大空間で五感が刺激される楽しい建築でした。②太田市美術館・図書館は群馬県太田市の駅前に立つ建物です。内と外が曖昧で階高も不明瞭な迷路のような空間です。僕はそんな空間が絡まりあう流動的な建物に森や海のような有機性を感じ、居心地の良さを感じます。
大坪君よろしくお願いいたします。(篠田:S)
よろしくお願いします(O)
参加動機
大坪君は1月から県設計に来てくれるようになったけど、参加を希望してくれたきっかけを教えてください(S)
1つは建築業界の実務はどんなことをしているのか知りたかったので参加させて頂きました。また信州大学ではキャンパスが1年次と2年生以降で離れているので、先輩方と交流できる機会も少なかったです。しかしあがた設計には信州大学の偉大な先輩方がいると聞いて、どのように建築と向き合い、何を考えているのか少しでも知れたらいいなと思いました。(O)
偉大..恐れ多いです…僕が当社に1年生向けインターンプログラムの導入をお願いしたのも、一番多感で自分の時間が持てる1年生のうちに建築との接点が少なく、2年生になると急に設計課題で比較講評され、なかなか建築の魅力に触れられないまま、建築設計に苦手意識を持ってしまう方が多いなあ。という認識と当社の人材不足、双方の課題意識があって提案したんだよね。快諾いただける会社があって、来てくれるみんながいて、同僚の杉山さんや上司たちの支えがあって、初めて成立することなのだけど、始められてとてもよかったと思っています。(S)
活動内容
大坪君はソフトの習得が鬼のように早くて、プライベートでもコンペに出していたりすごく意欲的だったよね。どんな業務に携わりましたか?(S)
既存図起こしと過去の県設計が設計したデータの整理とモデリングを中心にさせて頂きました。既存図起こしでは昔の紙の図面をauto CADを使用してデータ化をしました。またモデリングはライノセラスを用いて図面から建物を立ち上げ、基本設計のお手伝いもさせて頂きました。(O)
アガタカルテという弊社独自の設計資料のデータ管理システム構築に向けて、みんなには多大なご足労をいただきました。先輩方が設計された膨大なキャドデータをPDFで整理するのは結構大変なんだよね…ただ、それを通じてAutoCADの操作が早くなり、建築実務で作成する資料について学んでもらえたのはよかったなと思っています(S)
業務を通じて得られたこと
続いて、大坪君が業務を通じて得られたことを振り返りもかねて教えてください(S)
建築ソフトの基本的な操作方法や実務がどのような流れで行われているのか体感することができました。中でも特にインターンを通して変わったと思うことは身の回りの世界は思っていたより面白くて凄いことに気付けるようになったことです。建物一つにしても形態だけでなく一つ一つの素材はどれが適切か考えられていたり、それを実現するための様々な人のつながりが隠れていたりするとインターンで知りました。このような途方もない業務を通して初めて1つの建物が立っていると思うと、もっと誠意を持って空間と対峙したいと意識するようになりました。(O)
そうだよね。どうしても学生のころは目に見えるものでしか建築を感じにくいと思うんだけど、杭や壁の中など、目には見えない部分も含め、意匠環境構造設計の方々がどれくらい試行錯誤し、何を意図して図面を作成しているのか。その図面を現場の方々にどの程度尽力いただけて成立するのか。どの程度クライアントさんがどの程度リスクを背負っているのか。建築に携わる方々へのリスペクトの気持ちが大きくなるよね。僕は正直、入社して初めて強く感じたことだけど、1年生のころに体感してもらえたようで嬉しいです。(S)
印象に残ったこと
デスクワークが中心だったと思うのだけど、大坪君の印象に残ったことを教えてください(S)
先輩方とのちょっとした談笑です。ある先輩は自分がどんな建築が好きなのか知ることが実は大事だと教えてくださいました。またボロクソ指摘されたこともあります。内容は秘密ですが本質を突かれるのでグサッと刺さり、一晩落ち込むこともありました。ですが感化されたおかげで少しだけ多角的に物事を考える意識がつき、感謝しかないです。(O)
まだまだ未熟者の理想論ですが、僕は建築設計士は、調停者であり、指揮者だと思ってます。まずは多様なものを捉え、多くの意思決定をしていく中で、クライアントさんや携わってくださる現場の方々と、総体的な指針を見出すことは、設計士のとても重大な責務だと思っています。自分の見出した方向性の負の側面を踏まえたうえで、それでも打ち立てたコンセプトに導いていくには、多様な意見を受け入れる寛容さと意思のしなやかさが必要だと思っています。最後はその建築を作りたい。好きだという気持ちが下支えしてくれる気がしています。指摘する側も勇気がいるのだけど、ポジティブに捉えてくれて感謝です。少し言い方が強くなってしまったことは反省します..ごめんなさい!(S)
後輩に一言
来年度以降も松本で学生向けインターンを行おうと思っています。来年度以降、インターン参加を検討してくださる後輩に向けて一言おねがいします!(S)
1年生からインターンをさせてもらえるだけでもありがたいのに有給でもあり、建築を学ぶうえで大きな刺激を受けることもできるので非常に恵まれた環境だと思います。だからその分責任感と向上心を持つことが大事だと思います。それと社内のココアがおいしいので一度は飲むことをお勧めします。(O)
毎回、質問してくれて、家でもソフトの習得などを独学で行いながら、目まぐるしく成長する大坪君に僕も刺激をもらいました。有給であるのは弊社社長の方針で、無給のオープンデスクが常態化していた建築設計業界に対して、我々はインターンとはいえ、県設計に携わってくださるみなさんにとって、金銭的にも学びや挑戦の機会の面でも、満足したプログラムを提供できる設計事務所でありたいと考えているからです。僕も実は定時以外の時間でみんなの業務の調整を行っていたり、実際は始めたばかりで色々と大変だけど、先輩方が堅実に業務を行ってくださるおかげで安定して業務に取り組めたり、徐々に体制も整えつつあるので、長野県の組織設計事務所として、学生向けインターンはしっかりと有給で持続的に成立させることを今後も目指していきたいです。ドリンクサーバーがあるのも嬉しいよね。僕はルイボスティが好きです。(S)
インターンプログラムの改善点
さて、本人を目の前にして、言いずらいことかなと思うのですが、、良い面だけ社外に発信するのもむずがゆいので、率直に弊社のインターンでもっとこうあればいいのになあと思うことなど、課題や改善点があれば教えていただけますか(S)
どの業務もすべて自分のためになっていると感じることができたので不満どころか大満足でした。強いて言うとすれば業務ではないのですが、先輩方がどのように設計を進めているのか見学をしたかったです。(O)
そうだね…実際に設計のプロセスを見てもらうことはなかなかできなかったね。来年度以降ではなるべくそのような場を学生に見てもらえるように調整したいです。ただ、有給なだけあって、業務時間内でみんなの学びだけの時間を設けるのは少し難しい面があったりします。大坪君が抱いたその要望を弊社の先輩方に伝えたら、快く色々見せてもらえたと思うので、枠に収まらず、勇気をもって自分で機会を作ってもらえたら、よりよかったなと思っています!(S)
今後の展望
短い時間ではありますが、とても濃厚な時間を過ごせたと思っています。本当にお疲れ様でした。今後も機会があれば弊社の業務で携わっていただくこともあるかと思いますが、弊社のインターン経験を経て、大坪君が抱いた今後の展望を聞かせていただけますか(S)
先輩方との会話を通してもっと様々な世界を積極的に見に行こうと思いました。なので別のインターンに行ってみたり、未経験のジャンルのバイトを始めてみたり、自分の能力で仕事ができるか挑戦したりしてみたいと思います。(O)
建築は器が大きいので、どんなことをしても大抵関わってきます。僕は学生時代に飲食店やコンビニのアルバイトの経験で、陳列や作業カウンターの築き方、派遣の清掃バイトでは、手入れのしやすいオフィスであることの重要性など、様々な視点で気づきがありました。学生時間はあっという間なので、有意義に過ごしてもらえたら嬉しいです!またプロポなど、成長した大坪君と一緒に仕事ができる日を楽しみにしています!ありがとうございました!(S)
こちらこそありがとうございました!(O)