インターン体験インタビュー vol.2
弊社では大学生1年生向けに有給インターンを行っております。
本稿では、参加していただいた皆さんにインターンを体験した感想をインタビュー形式で伺います。
インタビューと銘打ちながら、インタビュイーである篠田が語りすぎちゃっておりますが..今後インターンに参加したい学生さんや、今後学生向けインターンプログラムの導入を検討されている企業様のご参考になれば幸いです。
インタビュワー
遠藤さん(E)
宮城県多賀城市出身
好きな建築:ウォルトディズニーコンサートホール/フランク・ゲーリー
ウォルトディズニーコンサートホールは、中学生の時に画像サイトを見ていたときに見つけて、その曲線美と躍動感が魅力的で、強く印象に残った作品でした。大学で建築学科に入ってから、内部もなだらかな曲線で構成されていることや、音響効果にも優れた設計になっていることを知り、より一層興味を持ちました。空の色や街の光の色によって表情が変化する金属の外壁や、風に舞う布のようにも見える、インパクトのある外観が好きです。私はクラシック音楽を聴くのが好きなので、いつかこのホールでオーケストラの演奏を聞いてみたいと思っています。
インタビュイー:篠田(S)
遠藤さんよろしくお願いします。(S)
よろしくお願いします(E)
参加動機
遠藤さんは昨年の10月から県設計に来てくれたけど、参加を希望してくれたきっかけを教えてください(S)
大学では学ぶことのできない建築の実務面を体験させていただける貴重な機会だと思ったからです。また、実際に自分が行う業務に関することだけでなく、設計を仕事にしている方の考え方や見えている世界、抱えている問題などを部分的にでも知ることで、建築業界のリアルに触れることもできるのではないかとも思いました。(E)
実務を想定しない大学の中での設計や教育もすごく大事だけど、自分がこれから志す建築業界や設計士のライフスタイルは、確かに知っておくと、就活や学習の指針決めに役立つと思います。業界だけでなくて、我々中小企業の直面している課題も垣間見えたと思うけど、みんなにはどう映ったかな..個人的には大変だけどやりがいがあって楽しいと思っているけど、将来に期待感を抱いてもらえていたら嬉しいです。遠藤さんは、このインターンに参加してくれた際に、社会人顔負けの丁寧なメール文を弊社宛に送ってくれたことが印象に残っています。(S)
活動内容
遠藤さんは些細なことでも疑問を持ち、時間をかけて丁寧に業務に取り組んでくれました。どのような業務に携わりましたか?(S)
改築される建物の既存図起こしやワークショップの手伝い、県設計が携わった建造物のデータ整理、ゴルフ場の女子更衣室周りのデザインの提案をさせていただきました。特に更衣室のデザインに関しては、設計からモデリング、またクライアントと対面してプレゼンテーションを行う段階まで行わせていただきました。(E)
まだ設計課題を体験したことのないみなさんと、基本設計(コンセプトメイク)業務に携わっていただくことは、正直勇気がいりました。ただ、やっぱり建築設計の楽しさは、自分がただ創りたいものを机上でイメージすることだけではなく、実際にクライアントさんとの対話をもとに、様々な要件を調整し、葛藤しながら建築イメージを固めることだと思っています。ヒアリングで伺えることだけでなく、使っていただける方への配慮や内在的に抱かれている要望、社会情勢なども鑑みた要件定義から、自身の創りたい方向性で空間コンセプトを導く基本設計のキックオフまでの、一連の流れを体験してもらえたことはとてもよかった思っています。(S)
業務を通じて得られたこと
続いて、遠藤さんが業務を通じて得られたことを振り返りもかねて聞かせてください(S)
AutoCAD、Rhinoceros、Twinmotionなどソフトの操作方法はもちろん、イメージの段階から設計、竣工までに設計事務所が担う業務を一部ながら知ることができました。特にインターン後半に携わらせていただいたゴルフ場の更衣室改修の提案では、実際にクライアントがいて条件や要望が提示された中での設計ということで、大学の設計課題だけでは見えることのなかった具体的なエスキス段階での課題や自分の構想を伝えるプレゼンの難しさを感じました。(E)
まだ設計課題を行ったことがなく、かつソフトの操作もままならない中で、弊社としてのクオリティを担保するレベルまでプランを練り上げていただき、とても負荷が大きかったと思います。ただ、我々が想像することのできなかったフレッシュなアイデアを提案していただき、僕ら自身も勉強になりましたし、クライアントさんも新しい視点でプランを検討いただけたと思っています。実体験をもとに得たものは大きいかと思いますので、今後の設計活動でさらにブラッシュアップしていただけたら嬉しいです。(S)
印象に残ったこと
遠藤さんの印象に残ったことを教えてください(S)
先述したゴルフ場の女子更衣室のデザインです。全くの初心者である私に、実際に施工される建物の設計をさせていただけたことは僥倖でしたし、だからこそ頑張らなくてはいけないなと思いました。まずは施工条件やクライアントさんの要望をもとにコンセプトを決め、自分で考えた簡単な図面を書いてみたものの、何故その機構にしたのか、寸法に意味はあるのかなど、実に初歩的な指摘をいただき、自分の甘さを思い知らされたのを覚えています。その後は既存図のない図面の作成、立体のモデリング、プレゼンテーションボードのレイアウト決めなど、すべての物事が新しく知らないことばかりでしたが、篠田さんのご助言のもと、ギリギリながらも進めることができました。どの行程もとても楽しく取り組ませていただきました。ありがとうございました。(E)
そうですね。僕自身も、新人ながら先輩方から業務を任せていただいき、指導していただけているからこそ、責任とやりがいを感じながら、多くのことを吸収できています。せっかく、インターンにきていただいたので、弊社流のOJTを体感していただきました。先ほども述べた通り、質を担保するため、お互いに負荷がかかることではありましたが、無事に経験を積んでもらえてとてもうれしいです。建築は考えることが尽きないから時間がかかることや、その中でプロジェクトやライフスタイルが破綻しないために、どう折り合いをつけていくかなど、色々と感じたことはあるかと思います。正直に言うと、病んでしまう方も少なくない業界なので、健康第一でやりがいを持って頑張ってほしいです。こちらこそありがとうございました。(S)
後輩に一言
来年度以降も松本で学生向けインターンを行おうと思っています。来年度以降、インターン参加を検討してくださる後輩に向けて一言おねがいします!(S)
私が一年を終えて感じたのは、長いように見える大学四年間は、実はとても短いということです。自分の栄養になる楽しい趣味に没頭すること、綺麗なものを見ること、また将来やりたいことや建築に携わる人間としてどう生きていきたいかを考える期間として考えると、全然足りません。今回のインターンは、将来必ず役に立つような知識やスキルを一から教えていただけただけでなく、実際に設計会社の業務を知ることで、自分の将来したいことや建築に対する向き合い方を見つめなおすきっかけを(しかも学部一年という早いタイミングで)くださったという意味でも非常に良い経験となりました。何もせずに流れるように過ぎ去っていたかもしれない大学一年生の半年間、県設計でインターンをさせていただけて本当に良かったです。(E)
うーん、深いですね。。わかります。確かに僕も6年間あっという間でした。「もっとこうしておけばよかったな。こんな機会に恵まれてたら違っただろうな。」と思うことが多々あります。今も時間が足りないです。今回のように、実際に一次情報をつかむことはとても大事にしてほしいです。基本的には、人も会社もよく見える部分を誇張し、見せたくない部分は隠す傾向にあると思います。誇張に誇張が重なり、本質的な部分が見えないまま、その上っ面だけに憧れて、指針を決めてしまうことに怖さがあります。もちろん、大学で思考力を磨かれているかと思いますが、学生のうちに社会に携わる際にはそこに注意を払って、親や先輩方の中立的な意見も、しっかり聞いてもらえたらと思ってます。泥水をすする苦い経験も、泣きたくなるような嬉しい経験も、実をもって体験してもらえたら嬉しいです。インターンにきてよかったとおっしゃっていただけてとても嬉しいです。(S)
インターンプログラムの改善点
さて、本人を目の前にして、言いずらいことかなと思うのですが、、良い面だけ社外に発信するのもむずがゆいので、率直に弊社のインターンでもっとこうあればいいのになあと思うことなど、課題や改善点があれば教えていただけますか(S)
時間外業務の報告がしにくい点が気になりました。時間ではなく内容に応じるなど、明確な基準があった方がいいのではないかと思いました。(E)
そうだよね。。なるべく見えない残業に対しては報酬を支払いたいという弊社の意向で、時間外業務を報告するようにお願いしていました。ただ実際、ソフトを勉強している時間や指示にないみんなが試行錯誤してくれた付加価値は含めてよいのか。など、アクセルとブレーキを同時でかけているようなストレスを抱えさせてしまったと反省しています。次回からは業務に対する報酬を明確化し、なるべく尺度のストレスなく、やった分だけ対価が支払われる仕組みづくりを行います。ありがとうございます。(S)
今後の展望
10月から、約半年間ほどとても濃厚な時間を過ごせたと思っています。本当にお疲れ様でした。今後も機会があれば弊社の業務で携わっていただくこともあるかと思いますが、弊社のインターン経験を経て、遠藤さんが抱いた今後の展望を聞かせていただけますか(S)
建築を仕事にしている方々の話を見たり聞いたりするうちに、建築は世界のどんな要素にも絡められるすべてを内包できるテーマだと思うようになりました。建物をデザインするということは即ち人間の生活をデザインできるということで、逆に言えば生活に関わるどんなものにも建築の種は眠っているのだと思います。本をたくさん読んだり、美しいものを見るために遠くまで足を運んだり、色んな人と交流したりして、自分が何をしたいのか大いに建築を模索し続けていきたいなと思います。(E)
とても素晴らしい気づきですね。愚直に建築を学んでいくことと、合わせて自分の感性が赴くままに、色々な経験を積んでいくと、遠藤さん独自のデザインに繋がっていくと思います。合理的な良し悪しだけでなく、もっと感情的な、好きとか嫌いとか、感動できるものに出会い、創れる人になってもらえたらとても嬉しいです。僕もそうあれるように頑張ります。ありがとうございました!(S)
こちらこそありがとうございました!(E)