インターン体験インタビュー vol.7
弊社では大学1年生向けに有給インターンを行っています。
本稿では、参加いただいた皆さんに感想をインタビュー形式で伺いました。インタビュワーである篠田が語りすぎてしまっていますが…今後、弊社でインターンを検討されている学生さんや、インターンプログラムの導入を検討されている建築設計事務所様のご参考になれば幸いです。
インタビュイー
小杉さん(K)
埼玉県所沢市出身
好きな建築:ビクトリア州立図書館Bates, Smart and McCutcheon
ビクトリア州立図書館は、オーストラリアのメルボルンにある図書館です。観光客で賑わう一方、地域の方々の心の拠り所にもなっているこの図書館は、天井が高く開放感がありながらも自分の世界に入ることができるとても良い空間でした。利用する人にとって居心地の良い空間で、自分もこんな建物を創りたいと幼いながらに初めて思った建築物なので、思い入れがあります。印象に残っています。
小杉さんよろしくお願いします。(S:篠田)
よろしくお願いします(K)
参加動機
小杉さんは昨年の10月から県設計に来てくれるようになったけど、参加を希望してくれたきっかけを教えてください。(S)
大学構内にいるだけでは見ることのない世界を見ることができると思ったからです。並んで座って教授の話を聞き、出された課題を淡々とこなすだけでは、建築や将来のことはそれほど見えてこないだろうと悩んでいたので、何か新しい視点を探そうと思い参加させていただきました。(K)
とても良い視座だと思います。僕も実際、設計業務の指針となる活動の仕方を得たのは、もちろん大学の中で学んだ知識や交友関係の足がかりがあってこそですが、大学外での取り組みにあります。実際に身をもって知ることで大学の中での学びが沁みてくるようにもなるので、ひたむきに学習は進めてほしいなとも思います。(S)
活動内容
小杉さんは途中からほかの設計事務所ともインターンを掛け持ちすることアクティブに取り組まれていましたね。明るく周囲和をつくる姿が印象的でした。どのような業務を取り組みましたか?(S)
既存図起こしやワークショップの補佐、ゴルフ場女子更衣室の改修の提案などをさせていただきました。手書きの図面をAutoCADに写したり、改修案のプレゼンテーションに向けてRhinocerosやtwinmotion、イラストレーターを使用して資料を作成し、最終的にクライアントさんに実際にプレゼンテーションをさせていただきました。(K)
小杉さんは物事をシンプルに整理し、一所懸命に取り組む長所があったので、遂行スピードが速く、とても仕事をお願いしやすかったです。ありがとうございました。一方で、途中で抱かれていたであろう疑問に関しては、うまくスルーしてしまっていたのではと思っています。最初のうちは、仕事をこなすだけでなく、抱いた疑問を素直に解消する時間も、多めにとってみるといいかもしれないなと思いました。(S)
業務を通じて得られたこと
続いて、小杉さんが業務を通じて得られたことを振り返りもかねて教えてください(S)
大学では使わないモデリングソフト(AutoCAD,Rhinoceros,twinmotion,イラストレーター)を一通り触れるようになったことです。大学では紙とペンで平面図を書き上げるのが当たり前だったため、世界が広がったように感じます。またプレゼンを通して、何を伝えたいのか、伝えるにはどうすれば良いのかという、建築以外の面でも多く学びました。(K)
多様なソフトを習得していただいたおかげで、クライアント様へのプレゼン業務まで担っていただくことができました。ソフトはほかにもRevitやArchiCADを代表するBIMやVRへの出力、RoomGPTやMidjourneyなど生成AIを活用した技術、3DプリンターやCNC加工機を活用した模型製作など、僕らや社会が想定するよりもドラスティックに環境が変わっていくと思うので、ぜひ、何を伝え、何を創りたいのかという本質は見失わず、あくなき探求を進めていただけたら嬉しいです。(S)
印象に残った体験
慣れないデスクワークが中心だったと思うのだけど、小杉さんの印象に残ったことを教えてください。(S)
ゴルフ場女子更衣室の改修の提案です。建築業界の現実を垣間見たようで、とてもためになりました。どんなに時間をかけても相手が良い顔をするとは限らない、厳しい一面も知ることができました。時間や生活に追われるのはとても大変でしたが、自分の生活とどう両立するか、自分が壊れかけた時にどう立ち直るかも学ぶことができたのは大きい経験だったと思います。(K)
コミュニケーションなので齟齬が起こりうることや、よりよいと思う空間を提案するチャレンジには、失敗がつきものだと思います。ただ、一発勝負のプロポーザルなどを例外として、クライアント様と何度もキャッチボールを重ねるものでもあるので、その日に「このイメージは違う」とネガティブな印象を抱かれたことを認識させていただくことで、次回以降、すり合わせがしていけるなど良い側面もあります。建築はものづくりなので、定時で上がるような働き方だと、それなりのもので終わっていってしまうと僕は正直思っています。もちろん、徹夜など、非生産的な行為は避けたほうが良いですし、生活を大事にする必要は無論あります。が、全力を尽くそうとすると、削り出し作業のような側面があり、キャパ寸前までいくことが、今後もしばしばあると思います。食事に気遣ったり、周囲に頼ったり、ストレスを発散するような息抜きの場を保つことは自分を守るためにも欠かさず大事にしていただけたらと思います。提案の業務はまだ設計課題を経ていない1年生にとっては、負荷が大きかったと思います。ただその分、やりきったおかげで、普通だったら得られない筋力は確実についたかと思います。担当された3人は、ほんとお疲れ様でした。(S)
後輩に一言
来年度も松本で学生向けインターンを行おうと思っています。来年度以降、インターン参加を検討してくださる後輩に向けて一言お願いします!(S)
だいたいのことはなんとかなります。だからとりあえずやりたいことをやった方が良いです。不安になったときや大きな壁にぶつかった時はもちろん、楽しくて浮かれてる時なども一度大きな視点で物事を見てみると、それだけで冷静になれたりします。何かあったときに冷静になれれば、「なんとかなる」の精神でぶつかっていくのも楽しいです!(K)
なんとかなる。マインドはおっしゃる通り、とても大事ですね。ただ、僕はなんとかならなかった。こともしばしば。。もちろん立ち直って清算する必要はありますが、やらなかった・伝えられなかったことの後悔のほうがたいてい大きいと思うので、小杉さんのようなマインドで一歩踏み出す勇気を持っていただけたら嬉しいです。(S)
インターンプログラムの改善点
さて、本人を目の前にして、言いずらいことかなと思うのですが、、良い面だけ社外に発信するのもむずがゆいので、率直に弊社おインターンでもっとこうあればいいのになあと思うことなど、課題や改善点があれば教えていただけますか(S)
時間外業務の具体的な定義があると良いなと思いました。手厚くサポートしていただき、とても良いインターンでした。(K)
ありがとうございます。みなさんにご指摘いただいたことですが、来年度より、歩合制の給与体系も整えます。歩合にしたらしたで、こちらが求めているものと皆さんの成果のすり合わせが難しそうなので、チェックバックは2回まで、言われたことは須らく行っていただく。無理なものは無理ということ。など、互いにストレスがないような仕組みづくりを行っていく予定です。(S)
今後の展望
短い時間ではありますが、とても濃厚な時間を過ごせたと思っています。本当にお疲れ様でした。今後も機会があれば弊社の業務で携わっていただくこともあるかと思いますが、弊社のインターン経験を経て、小杉さんが抱いた今後の展望を聞かせていただけますか(S)
インターンを通して、建築への興味が確実に深くなりました。自分の中の「建築とは何か」というテーマの答えが胸を張って言えるぐらい、たくさんの世界を知った上で自分の好きな建築、自分にとっての建築を磨いていきたいと思います。(K)
建築への興味が深くなったといっていただけて大変うれしいです。人生は、は言い過ぎかもだけど、少なくとも学生生活はあまりにも短いので、建築を沢山・広く知ることにも限界があると思います。そんな中で自分の好き嫌いで方向性を決断したり、体系立てて整理された建築の言説などを読んで、自分にとっての建築とは何かというテーマの答えが積みあがっていけるように、自分なりに建築を語るうえで大切になる言語を知ることや、体験して感動すること、先輩に教えてもらったり、何気ない日に同期と建築について語りあうような日常を、これからも送っていただけたら嬉しいです。また機会あったら聞かせてください。ありがとうございました!(S)
こちらこそありがとうございました!(O)